広大マスターズ2012(平成24)年度平和科目(前期)
平和と人間A-環境と生物の未来へ-
<授業概要>
講師陣は広島大学名誉教授で構成。大学教育の現場から離れているが、なお学界等の第一線で活動する。その立場から、「平和」をより大局的にとらえ、オムニバスで講義する。
1)私たちの原点は、人類最初の原爆投下によって都市壊滅した広島にある。だが平和を求める心は人類に共通し、普遍的である。
2)産業革命によって、生産と消費、労働と生活、伝統と文化のシステムが大きく変化し、私たちは国家=国民の枠の中に組み込まれる。今から200年以上前、「神なき時代の最初の哲学者」とよばれるカントは、平和は人間が自ら創設されるものと説いた。
広島投下の原子爆弾とは何であったか。そこに生きた者の視点から被爆の実相と都市の破壊を考え、原子爆弾の構造、その威力等を知り、その後の核兵器の歴史と現実を考える。
現代の世界平和は、戦争回避だけではない。人口増加、物質の偏在、食糧の不足、環境の劣化の諸困難にいかに立ち向かうか。環境破壊の克服、新エネルギーの模索、バイオテクノロジー、感染と危機の管理、真の意味での生物多様性の社会を考える。
3)「平和」を国際的レベルにおける共同意志にどう高めてゆくか、それを考えてゆきたい。
<講義目次>
第1講 ガイダンス(4月9日) 授業の狙い、講師紹介(金田晉・元総合科学部)
第2講 平和と哲学-カントと平和の哲学(4月16日)(金田晉・元総合科学部)
第3講 広島投下の原子爆弾の構造・威力・被害と放射線障害(4月23日)(松田正典・元総合科学部)
第4講 広島で被爆して平和を考える(5月7日)(植木研介・元文学研究科)
第5講 近代産業と平和―英国資本主義とクェイカー教徒-(5月14日)(友田卓爾・元総合科学部)
第6講 地球環境の変貌(5月21日)(安藤忠男・元生物圏科学研究科)
第7講 30年後の地球環境(5月28日)(安藤忠男・元生物圏科学研究科)
第8講 生物多様性(6月4日)山本義雄・元生物圏科学研究科)
第9講 環境と再生可能エネルギー(6月11日)(鈴木寛一・元生物圏科学研究科)
第10講 水産資源の国際問題(6月18日)(中川平介・元生物圏科学研究科)
第11講 バイオテクノロジーの歴史と最新技術(6月25日)(平田敏文・元理学研究科)
第12講 次世代のバイオテクノロジー(7月2日)(平田敏文・元理学研究科)
第13講 感染症と危機管理(7月9日)(松田治男・元生物圏科学研究科)
第14講 平和と国際経済学(7月17日)(佐野進策・元経済学部)
第15講 平和の哲学―現代の諸問題と哲学の視点(7月23日)(金田晉・元総合科学部)