広大マスターズ2012(平成24)年度平和科目(後期)
平和と人間B-人間と文化の未来へ-
<授業概要>
講師陣は広島大学名誉教授で構成。大学教育の現場から離れているが、なお学界等の第一線で活動する。その立場から、「平和」をより大局的にとらえ、オムニバスで講義する。
1)私たちの原点は、核兵器の最初の被爆地広島にある。だが平和を求める心は人類に共通し、普遍的である。
2)近代科学と産業はめまぐるしく発達する一方で、使用者のモラル(倫理意識)が問われている。広島への投下時の原子爆弾の仕組みと威力、そこからひき起こされた地獄絵図、その後もつづく核兵器開発の拡散の現実を学ぶ。同時に平和を阻害するさまざまな要因、環境破壊、人口増加、物質の偏在、飢餓等を克服するための外交と国際協力の歴史を学ぶ。
戦争は国家の論理が優先する。その下で、人びとは自らの生き方を問い、相手国に住んでその苦難を経験し、なお平和の生活を望んだ。また芸術やスポーツを介して国境を超えて人びとの連帯をもとめてきた。
3)平和は人間が自ら創設してゆかなければならない(イマヌエル・カント)。「平和」を国際的レベルにおける共同意志にどう高めてゆくか、それを考えてゆきたい。
<講義目次>
第1講 ガイダンス、授業の狙い、講師紹介(10月1日)(金田晉・元総合科学部
第2講 平和と哲学-カントと平和の哲学(10月15日)(金田晉・元総合科学部)
第3講 広島投下の原子爆弾の構造・威力・被害と放射線障害(10月22日)(松田正典・元総合科学部)
第4講 広島で被爆して平和を考える(10月29日)(植木研介・元文学研究科)
第5講 近代産業と平和―英国資本主義とクェイカー教徒-(11月12日)(友田卓爾・元総合科学部)
第6講 環境から見た人類の生長とその限界(11月19日)(安藤忠男・元生物圏科学研究科)
第7講 バイオテクノロジーと食の安全(11月26日)(池上晋・元生物圏科学研究科)
第8講 バイオテクノロジーと生物多様性(12月3日)(池上晋・元生物圏科学研究科)
第9講 戦争と倫理(12月10日)(水田英実・元文学研究科)
第10講 戦争と記憶―比治山に眠るフランス兵士の墓(12月17日)(原野昇・元文学研究科)
第11講 イタリア半島の言語状況から平和を考える(12月25日)(古浦敏生・元文学研究科)
第12講 平和とスポーツ―祭典とオリンピック(25年1月8日)(渡部和彦・元教育学研究科)
第13講 平和と美術(25年1月10日)(難波平人・元教育学研究科)
第14講 平和と国際経済学(1月21日)(佐野進策・元経済学部)
第15講 平和の哲学―現代の諸問題と哲学の視点(1月28日)(金田晉・元総合科学部)